ブラック化する社会。

最近のテレビ・コマーシャルを見ていると不愉快なので

BS・NHKや映画を録画して見ているのですが、

それはテレビ・コマーシャルが人間心理を悪用した

ブラック・マーケッテイング手法が多くなり不愉快だからです。 

高齢者の健康不安を煽り心理的に追い詰め陥れてから

『いかにも完治する』ように演出し、時間制限内であれば

安くすると即断を迫り考える時間を与えない手法は、

心理学的な損をしたくない人間心理を悪用したものです。

人間の心理的ダメージとは不思議にできていて、

例えば二万円得をしたことより一万円の損をしたことの方が

心理的ダメージが大きく記憶する心理を利用しているのです。 

人間とは得をしたことはすぐ忘れますが、損をした記憶は

悔しさが残り続けてしまうのが人間の心理なので、

『今注文しないと損をする』思わせる事が狙いなのです。 

特に一人暮らしの高齢者は日常的な孤独感の中で

健康不安を実感しており、そのような時は脳内の幸せホルモン

であるセロトニンが減少するので冷静な判断力ができない

状態になっているために騙され易いのです。

日本の高齢者六十五歳以上は約三千六百万人で、

その約四分の一の千百五十万人が独居老人で、

認知症高齢者は七百万人にも迫っている状況です。

一方で日本の国民金融資産は高度成長の恩恵を受けた

高齢者に集中しておりますので、認知機能が衰えた

独居高齢者の多額な資産は詐欺を働く者にとっては

格好の獲物になっているのです。 

格差が広がり真面目に働いても報われない状況が続き、

こんな資産格差を思い知らされた若年層には大きな不満がある

状況ですので、詐欺を働く若年層の動機として言葉は悪いですが

日本は好条件の詐欺天国状況なのです。 

最近は金融機関も低金利で収益悪化に悩まされておりますので、

相続対策や有利な資産運用を名目に高齢資産家に

擦り寄っており、スルガ銀行事件までは行かずとも

水面下で犯罪に近いことが行われていても

表面化していないのでは? と私は想像しています。 

高齢資産家の相続を狙った結婚詐欺事件等も報道されましたが、

黒川博行氏の小説『後妻業』では孤立した寂しさの上に健康不安

を抱える老資産家に擦り寄る手口が詳細に描かれています。 

人間の脳は性行為後には警戒感が解かれるため、

安心感から相手への依存心が強くなるようにできており、

その上に後妻には最優先の遺産相続権があるので

職業として成り立つと書かれた小説です。 

別な小説家が極論としてコラムに書いていたのですが、

男性の未婚率は年収が少ない人が圧倒的に高く、

それは女性が結婚相手に高収入を望む傾向が高いからで、

収入の多い人は再婚率が高く浮気相手にも恵まれてると述べ、

このような社会状況は極論すると男性の買春と

女性の売春に近い現象ではないか? 

と書いておりましたが、私も一理あるかな? と思いました。 

資本主義の時代になってからはお金万能の時代が続き

企業の存続も収益次第で、特にインターネットの時代を迎えて

からテレビ全盛の時代は確実に終焉に近づいていることも、

TVコマーシャル企業の低俗化傾向に繋がっていると思います。 

現在テレビ局は広告企業の減少と低価格化に苦しんでおり、

その反動で表面化してきたのが健康不安を煽り売り込む

健康食品に繋がるのは必然で、テレビは高齢者しか見ていない

のでターゲットにされ高額な健康サプリほど売れるという

悪徳商法から学び似たようなスポンサーが続々参入しています。 

若者達はテレビなどよりユーチューブやスマホゲームなので

若者向けの広告はそちらに流れており、習慣的にテレビを

つけているのは高齢者だけになっていることも

ターゲットにされている原因です。 

高齢者の中には寂しさから詐欺では? と思っても、

話を聞いてくれるだけで心を許してしまう不安心理があるのでは?

高齢者と接する機会の多い私は思います。 

最近は大企業も労働環境も含めてブラック化してますが、

私がブラック・マーケッテイングの恐さを強く感じ

一番驚いたのはAKB48商法で、CDの売り上げが

百万枚を越えたカラクリを本で読んだ時でした。 

音楽はネット経由が増えてCDが売れなくなっているのに

なぜ百万枚を越えたのか? は熱狂的なファンの欲望を

巧妙に取り込んだ手法で、販売CDの中に『握手券』

人気投票の権利を与える『投票券』を入れて販売していたのです。 つまり熱狂的なファンはその券欲しさに同じCDを大量に購入

しており、中には『握手券』や『投票券』欲しさに何十万円も

同じCDを購入していたのです。 

最近のブラック・マーケッテイングの恐さは、広く浅く物を販売する

のではなく高齢者は不安に陥れ・若者は熱狂させ陥れ、

『狙い撃ちして狭く深くむしり取る手法』に変化しており、

それはネットゲームの課金システムなどでも使用されており、

元事務次官の引き篭もり息子殺害事件の息子なども

課金ネットゲームの依存症だったそうです。

安倍元首相殺害事件の引き金になった統一教会などの

宗教法人も、資産家信者の資産の全てを洗脳によって

一見合法的に寄付させる同様の狭く深くむしり取る手法です。

元来マーケッテイングは消費者のために開発されたものですが、

現在横行しているのは本末転倒して消費者を如何に騙すか? 

というステルス(見えない)マーケッテイングの方に

発展しているのが現状です。 

判りやすい例ではサクラを使い店の前に行列を作り

注目させる方法や、大手書店でランキング一位にするために

自腹で大量に一箇所で本を買い注目を集めさせる手法や、

実際にソニーピクチャーズが行った架空の映画評論家による

宣伝や、芸能人が裏金を貰って特別な商品を褒め宣伝する方法や、テレビ局が注目企業取材と銘打って報道するのですが

実は裏で宣伝費を貰っているなど、ステルスマーケッテイングの

手法はより高度化しております。 

このような手法が日本で効果的な理由は、日本人は特別に

社会的同調圧力に弱いため社会の流行に敏感に反応し易く、

また従う傾向が強いために効果的だからです。 

このような国民性は農耕的な共同体では協調することがメリットの

環境が長く続いた為と、背く者は村八分にされた歴史的な経緯

長く続いたため身体化されたのだと思います。

歴史的に同調しないことに強い不安を感じる遺伝子も育まれ、

このふたつの相乗効果によって日本人の文化的な特性に

なってしまったことがあると思いますが、その特性を巧みに

利用する者が金銭的勝利を手に入れる時代になったようです。 

富の集中は格差を拡大させる事に繋がり、格差の拡大は

社会を不安定にして未婚率と少子化に繋がり、

結果として国民の活力低下と人口減少でより経済成長が弱まり、

結果として国が次第に貧しくなっているのです。 

若者へのターゲット犯罪では、この格差を利用して

裕福な若者ではなく、将来に不安を持っている若者達を

狙って投資話を持ちかけ『必ず儲かる』と洗脳してから、

カードローンなどで借金をさせてむしり取っています。 

また住宅ローン制度を悪用したマンション投資などでは、

住宅事情の知識を持たない若者に住宅ローンを組ませ、

相場の倍額で売りつけられ五千万円~一億円の借財を

背負わせられている若者達も最近増加しています。 

私が病院やリハビリ施設で約一年近く多くの人達を見てきて

思ったことは、どんなにお金が有っても健康でなくなったら

『自分の意思は尊重されない』立場に置かれるということです。 

病院や施設のような刺激の少ない状況に置かれた老人は

物忘れしやすくなりますが、老人は容易に認知症扱いされやすく

病院や施設は隔離された状態ですので、お金も含めて

何事も自分の自由にすることなど確実にできなくなっているのを

私は目の当たりに見て来ました。

グローバル経済社会になってからは誰もが

『もう戦争は起こらない』と錯覚していましたが、

人間の個人的なエゴと同様に国家的なエゴもなくならない

からウクライナ侵攻のようなことが起こったのですが、

天敵を持たない独裁者は戦争を始めるようにできており、

ヒトラー同様にプーチンも国内に天敵がいないからです。

動物も天敵がいなくなると一時的に繫栄し増加しますが、

増殖し過ぎてエサがなくなると共食いになるのに似ています。 

日本の経済成長が続いた時代の若者達や大人達には、

今のような不安など微塵もなかったので植木等の有名な言葉

『そのうち何とかなるだろう』と楽観的に暮していました。

  国民の豊かさが国家の豊かさのバロメーターで、

  若者が不安を持っているような国に活力は生まれませんし、

  国が貧しくなるとウクライナのように侵略される危機も高まります。 

  もし中国が台湾に武力行使をしたら沖縄米軍基地の関係で、

  日本は必然的に戦争に巻き込まれるのでは?  と想像します。 

  お金は生きるための大切な手段ではあっても絶対のものではなく、

  健康こそが目的にすべき絶対のものですが、

  サプリや薬などのようなお金で健康を買うのは無理なのです。

  骨身を惜しまず身体を日常的に使い、

  五感で楽しむ文化的なものに触れ心も耕さないと、

  心身共に健康に過ごすことはできないと私は思っています。

  勤勉な労働で報われない社会構造に嫌気が差しブラック化して

  行く社会を憂いながらも、私は人の不幸の上に自分の幸せを築く

  邪悪さへの誘惑が人間の心根に存在しているとも思っています。

  そのような流れに流されないで、誰かの生活を便利にしたり

  心を豊かにしたりすることを生業にして行きたいと思いながら、

  ひたすら孫達次世代の未来社会を心配しております。