オリンピック以後。

産業革命以後に化石燃料を大量消費し始めてから劇的に社会生活が便利になり、コンピューターによる電子革命が進んで社会インフラ整備も電子化されてからは、便利なだけでなく全てが高速化され人の移動なども短縮され、今のお金持ちは個人の力で宇宙旅行までする時代になりました。 

こんなニュースを見るたびに、明日の生活に困っている人や飢餓に苦しむ人がいるがいるのにと思いながら、人間の持つ限りない欲望と自己顕示欲に呆れ果てています。 

こんな事を言うたびに『負け犬の遠吠えかい』という妻の声が聞こえて来ますが、もう大量生産大量消費の時代に未来はないのですから、今後は人間の欲望の制御で地球環境を守ることが、人類が生き残るための緊急課題になっています。 

持続可能な社会の実現は次世代のために考慮しないと手遅れになると気象学者や環境学者が警告をしていますが、人間の持つ限りない欲望と併せ持った傲慢さは災いが自分自身に及ばない限り改めないのだと思います。 

世界各国で頻発している異常気象だけでなくコロナウイルスも乱開発進行で発生しており、シベリアの永久凍土も温暖化で溶け出していますが、この凍土の中からも新種のモリウイルスと命名された感染力が強いウイルスが発見されています。 

核戦争が人類の危機を招くと言われてきましたが、地球温暖化は食料危機も招きその上農薬を使った食料大量生産態勢で土地がやせ細り、地下水も枯渇しかかっておりますので人口増加に食料が追いつかないという予測もでています。 

しかし食料生産のために新しい土地を開拓すれば二酸化炭素吸収の森林面積が減少し、永久凍土が溶け出すと二酸化炭素の五倍の温室効果があるメタンが放出されるそうで、これからは戦争より怖い新種のウイルスと食料確保の戦いが必ず訪れます。 

食料は穀物だけでなく水産資源である魚などにも及んでおり、

プラスチックが微小化されたマイクロプラスチック汚染の進行は深刻で、日本の太平洋近海の十年後は危険水域になるとの予測も出ていますので、陸地だけでなく海洋資源破壊も進んでいる食料危機が進行しています。 

この百年で進歩した科学技術は劇的に生活を豊かで便利にしましたが、これからはこの科学技術を人間の便利さだけでなく地球環境を如何に守り維持して行くかという視点を優先しないと、人類そのものの存続が環境的に危機を迎えることになります。 

しかしそこには国家間の利害が絡みますのでEUのように歩調が合わず、東西覇権争いも存在していますので難しさは複雑さを極めています。 

中国習近平の覇権主義を見ていると、第二次世界大戦の引き金になった独露軍事同盟のヒトラーを想起させられています。 

これは第一次世界大戦で敗戦国になったドイツが賠償金で貧困に苦しんだ頃にヒトラーが登場し、アウトバーン建設などの公共事業で経済を立て直し権力を掌握してから、軍事力を増強しフランスなど隣国を侵略以後に同じ独裁国家ロシアのスターリンと結んだ独露軍事同盟で、この同盟が世界的な驚異になって第二次世界大戦に繋がって行ったのです。 

その後ヒトラーがこの軍事同盟を破りロシアにも侵攻し敗走したことが連合軍に有利に働き終焉を向かえましたが、今ロシアのプーチンと中国の習近平も独裁国家ですので、現在のように西側陣営がロシアや中国を過度に追いつめ、香港や台湾問題がこじれると中国の習近平がヒトラーと似たようなことをしないか? と想像すると私は恐ろしくなります。 

ヒトラーの経済復興が成功している時には、アメリカのフォードなど多くの米国企業はドイツに投資協力しており、現在も西側陣営は中国経済に投資依存している状況は当時と非常に酷似していると思います。 

ヒトラーがドイツでオリンピックを政治的に利用し開催したのも政治家の常套手段ですが、今回の東京オリンピックも同様に政治と経済優先で行われており、オリンピック以後にコロナ感染拡大が一層進めば日本経済の本格的な危機の可能性も考えられると思います。

いつでもアスリートは純粋な気持ちで競技に臨んでいるのですが、ヒトラーはベルリンオリンピックでドイツの復興をアピールした以後に侵略を始めたように、他国に対して経済的に自信を深めると過度な自己顕示欲に陥り、その傲慢さから侵略戦争へと駆り立てられたのです。

東京オリンピックも衆議院解散に備えた菅政権の浮揚策として強硬されましたが、思惑が外れたコロナ感染拡大は深刻になっており強硬策は裏目に出た形になっております。 

もしオリンピック以後に医療崩壊が進み通常医療にも支障が出て経済活動の停滞を余儀なくされたら、マスコミも国民も急にオリンピック開催を非難し始め、日和見なマスコミは開催中止を望んでいた人達の声を急に取り上げ始め、開催強行の菅政権非難という世論に迎合した報道を平気で始めると思います。 

東京オリンピック以後の衆議院解散の時に、感染急拡大で収拾が付かなくなれば菅政権の支持率低下は一層進みますので、自民党は選挙で勝つための苦肉の策として阿部前首相に復帰させ選挙を戦うシナリオや、コロナ対策への緊急避難として衆議院解散を延期するなどの奇策も考えられると思います。

諸外国のロックダウン報道を聞くとカミユの作品『ペスト』を連想しますが、日本は感染者が激増しても『要請・お願い』

しかできない理由は、過去の戦争のような国家の暴走を抑えるという意味で、日本の現在の憲法に国家が『外出を規制する』という国民に対する強制力の強い法律がないからです。 

国家や社会を劇的に変えるのは国民の力ではなく政治の力で、国民は自分達が豊かになりさえすれば支持することは歴史が証明しているのですが、間違った権力者を選ぶと国家が滅ぶことも歴史が証明しており、第二次世界大戦終結時にはドイツも日本も焦土化して敗戦を迎えています。 

日本は西側陣営に属していますが、その筆頭のアメリカもベトナムやイラクやアフガニスタンで間違いを犯しており、もう民主主義か? 共産主義か? の二者択一の時代ではなく、地球環境を考えた世界的な視野で人類の存続を考える新しい思想が必要な時期のような気がしています。 

しかし人間とは一度手にしたものを失うことを嫌がり恐れる動物ですので、一度味わった豊かさのレベルを下げることは敗北を迎えるまで決してできないと思います。

私もこれ以上は望まなくても、冷暖房や食生活や車など今の生活レベルを下げることは正直嫌です。 

決して過去に戻れず前に進むためには、現状の豊かさのレベルを如何に維持しながら環境を守るか? に科学技術を環境に注力することしかなく、もう国家主義の不健康なナショナリズムから抜け出して、もっと人間主義の健康なナショナリズムへの移行も同時に進めないと実現できない難問です。 

今の子供達が大人になった時に地球環境の汚染で苦しむようなことになったならば、この百年の豊かさを謳歌し大量の化石燃料を消費した私達世代の責任が大きく問われることは確実だと私は思っています。