夏の微熱。

恋に似た微熱の続く夏の風邪・・・という俳句を投句して夏風邪を侮っていたのですが、二週目に入っても咳が収まらず次第に寝汗が尋常でなくなり目眩も伴うようになり内科を受診しました。

そんな次第で久々のブログですが、結果は気管支炎を起こしていて目眩は汗に対処した水分不足による軽い熱中症と診断され抗生物質による治療が一週間続きました。

その後三十年前に克服した喘息の再発懸念の検査をして、喘息特有の息を吐く力が落ちている事が判明したので、今は気管を広げる薬を処方され一週間後に再検査の予定です

かなり落ち着いたようなので昨夜は四週間ぶりにプールに行って泳いで来ましたが、不安をよそに無事四泳法を今まで通りに泳ぐことが出来て今朝の体調も変わりがなかったので安心しました。

正直にいうと夏風邪を侮っていて一週間ほどは自分自身の免疫力で完治できると慢心していたのが大きな間違いでした。

六十五歳という年齢を考えて早めに治療を受けていれば、克服した喘息を再発せずに済んだものと後悔しても後の祭りです。

人には『風邪は万病のもと』と注意喚起をしていたのに、自分自身が注意を怠り妻にも迷惑をかけ、自分自身も辛い思いをしてしまい慢心の怖さと落とし穴に嵌った顚末でした。

若い時の喘息以後、こんなに長く体調が悪いのは初めてで最悪時は『老いる』ということを改めて再認識した時間を過ごしました。

それは以前のブログに書いた老いるとは財力と体力を失うことを受け入れる作業なのですが、人は絶えず何かを失う時に恐れみたいなものを感じますが、若い時はそれをプチブルと笑って言っていましたが、そんな単純なものでないことも再確認しました。

それは私がかなり回復した時の定休日に妻と出かけて昼食中に、突然妻が顔中に汗を滲ませ白目をむいて青ざめていました。

急いでレストランの陰の方のソファーに寝かせ、落ち着いてから私が世話になっている内科に連れて行き血液・レントゲン・心臓のエコー検査をして、心臓が少し肥大気味で血圧の急上昇が原因と言われ今は朝晩の血圧測定で様子を見て、後日報告予定です。

二人同時の体調異常を経験したことは初めてで、この時に家庭の平和は家族の健康でやっと維持されているを身を持って心から実感させられた思いでした。

普段は頭で理解し予測していることと、現実に向き合った時の狼狽を思い知らされ妻への日頃の思いと感謝を実感しながら、お互いに相手が有って自分自身が維持されていると確認させられました。

そして老いを実感して死も身近に意識し、見栄や外聞などどうでもいいと心から思えて、何故か子供達も含め誰に対しても謙虚になっている自分に気付き、頭でっかちの時の自分自身の傲慢さの数々を想い出し言い知れぬ恥ずかしさを感じました。

そして矛盾しているようですが、若さの傲慢さが強さに繋がっていることも再認識したのは、若い時に喘息で二年間ほど今よりも辛い苦しい思いをしたのですが、その時は新店舗の借財返済と家族への責任の思いの方が勝り、水泳とランニングで完治することしか考えていませんでしたが、同じ厳しい状況でも年代によって考えることがこんなに違っている自分がいます。

私なりの老後の設計みたいなものも漠然と持っておりましたが、今回の体調不良で店頭にいる時や眠れないで深夜に思案して確認したことは、老いとは戦いでいうと潔く負けて行くことと認識したことで、見栄や虚栄心を捨てないと辛くなると認識したことです。

今まで出来たことが出来なくなっても受け入れないと人生が前に進んで行かない現実を避け恐れていることを見透かされ、妻にいつまでも水泳を休んでいてもしょうがないじゃないと言われて、昨夜は尻を叩かれて出かけた水泳でしたが、いつも通り泳げた喜びは今までになかったほどに喜びも格別でした。

人は何かを失ってから、今まであったものの有難味を知るように出来ているようですが、これからは機能的にも様々なものを失う宿命ですので、私も妻もこれからが人間としての本当の苦しい孤独の戦いの始まりと覚悟させられ、果たしてどこまで人間として成熟できるのか? 夫婦としても真に試される時期を迎えたことを思い知らされた夏の微熱でした。