変わる食卓。

岩村暢子氏の本『変わる家族・変わる食卓』には、正月・夏休み・クリスマス(電飾する)等の家庭祭事が外形的に華やいで見える家庭ほど家族が一緒にいる率が低く食生活は貧弱でカップ麺やコンビニ弁当やジャンクフードを多用し個食、母親の手作り料理は極端に少ないという現代家庭の取材本です。 

デジカメに撮ってもらった料理全てを実母に見せ、最後に『あなたの娘さんの食卓です』というと、絶句状態と書いています。 

この本はネグレクト・虐待などの多発は若年層だけの責任ではなく、その親世代の責任も半分有り、今の食生活崩壊は家事や育児を無意識に不快なものとした親の姿を見せられて育った子供には必然と告発しています。 

その頃の大多数の親は、子供の学歴やキャリア形成が一番大事で料理や家庭内の会話や仕事より勉強しなさいだったのです。 

そう刷り込まれて育った次の世代の親の関心は家族の健康や絆より『私達が外からどう見えるか』で、家族一人一人の役割や満足や幸福度より『外からどう見えるか』が優先され、社会的に成功して認められる記号を求める自己顕示欲的焦燥感です。 

年収・学歴・地位などの外形的に目に見えるものを家族全員に期待し達成し、幸福な家庭として社会から認知されるように演じ目標にする事は、実は怯えた病ですので、少し踏み外しただけで家庭崩壊や鬱病・自殺に繋がります。 

外形的には見えないけれど一番大切な『他者への思いやり』を優先する家庭の男女は絶滅危惧種? 

本当は収入より食卓が文化度と幸福度の指標になります。