生まれと育ち。

暴発する事件の度に、当事者の生誕と育ちの過程を思い胸が痛みます。 

それは母胎にいる時の母の心理的影響や乳児期に母性の慈しみを充分に受けて育ったか? がその人の生涯にわたっての人間性の基盤になると思うからです。 

人間は生れることも、親も選べない宿縁状況で生れます。 つまり人間の気質や性格は『その人間が大人になるまでに、自分の責任ではない何かによってつくられてしまっている』という事実が実はあります。 

『三つ子の魂百までも』のように、手に負えない子供は母胎時や乳幼児期の時の嫌なことが無意識領域に沢山詰まっているからです。 

太宰治・三島由紀夫・夏目漱石などもこの時期に劣悪な育ち方をしたそうで、漱石は育ちと悪妻で苦しみ・太宰と三島は乳幼児の時に母性を受けられずに育ち自殺、津波のように押し寄せる社会の荒波を防ぐ心の防波堤みたいなものの低下は母胎時や乳幼児の影響と解ってきています。 

人間の意識の世界を支配している無意識の世界は、心の防波堤という精神の免疫力です。 

辛い衝撃が心の中心を直撃した時、この精神の免疫力の壁が低いと何事にも感受性が敏感な『両刃の剣』で、文学的才能として開花する代わりに、自分や廻りの人達を傷つけがちになるのでは? と思います。 

私が理解できるのは自分の気質に思い当たるものが有り、親の重圧から逃れるために東京へ就職しました。 

こんな気質克服へ導く最良のものは『自分が生まれ、生きていることを肯定できるような親からの無条件の承認』を実感する再生作業ですが、私の場合は妻が長年の私の気質への忍耐で承認してくれ、母性で癒し導いてくれた事が、娘を慈しんで育てられた事にも繋がっていたんだと心から感謝しています。