いじめと忍耐。

いじめには集団の利益の為に誰かに罪をかぶせ追放する昔からのものと、平和と豊かさの代償の自分が抱える不安からの逃避手段に弱い異質な存在見つけだしていじめる二種類があると思います。 

スケイプゴートとは聖書からきていて直訳すると『贖罪のヤギ』と言う意味です。

つまり集団の贖罪を全てヤギの背に乗せ追放して神に捧げる儀式で、昔から人間社会には存在し、皆で行う事を通じて集団は同質化し安心しました。 

最近の問題は集団の為ではなく、個人が競争で優位に立つ為に過剰になっている事です。 

戦争のような劣悪な環境では自分自身の生存に強者の仲間が必要ですが、平和なお金があれば生存できる相対評価の競争社会では誰かがスケイプゴートされれば自分が優位になる事に繋がる事も大きな遠因です。 

学校の偏差値も会社の出世競争も、強者を減らす事が自分の優位に繋がります。 

いじめもリストラもいつ・何処で・誰に訪れるか? 先の見えない不安な時代で、その不安に耐える力の源泉になるはずの強固な家族の絆も減少し、家族ゲームのような家庭が高度成長時代に蔓延しました。 

過去にいじめ被害を経験して第一線で活躍している人達の中には報復をしていない人が多く『自分の手を汚していない』確信が実はあります。 

競争が激化する中でも、耐える強固な忍耐力は自分だけしか知らない倫理の中に有り、加害者や傍観者を一度でも経験すると理不尽なものと戦う自尊感情を維持する足場を失ってしまうからと思います。 

戦後の驚異的な復興は、貧困からの脱出という共同目標に向けて強者を中心に団結できたことが一番の要因です。

どんな困難からの脱出においても、戦う足場を失った自分の穢れた倫理を見つめ直す所から始める作業が必須で、それが人生を豊かにする秩序への道です。

とりあえず今出来ることだけに集中することが未来への不安を抑え、実は未来に繋がっていると思います。