TPP.

米国の要請でTPP貿易協定を迫られ、参加を表明後も合意に到っておりませんが、製造業が壊滅状態の米国では農産物と金融と医療サービス以外に輸出して儲ける業種の消滅が原因ですので、日本がコメなどの農産物・金融・医療などで譲歩しない限り難しいと思います。 

一般に消費者は一円でも安い物を求めますが、気が付いた時は商店が無くなって不便になり、輸入物の価格安の物を買い続ければ自国の産業が亡び、自分の家族の雇用も減少して失業率が高まり不況から抜け出せないうえの格差社会は必然です。

国産品・品質優劣・安心・地域の店などの循環を考えて消費をする成熟した人達が増えないと、見た目は一緒でも良質な商品を届ける人は減少しますが、私は仕事を通して『そんな消費者の増加に嫌気がさした』と借財のできないうちに廃業した、良質品の製造・販売業者の人達をここ十年間で沢山見てきました。

グローバル化した世界は、弱者の市民が自分で自分の首を絞めている事に繋がっている連鎖に気が付いていないようですが、今は知らない事による被害も自己責任です。 

ひとつの政策が及ぼす結果には時間差があるので、地域や国民や国家に及ぼす影響が出た時には原因すら見失っているのが実情です。 

農家が亡びてから食べ物が手に入らない、産業が亡びてから働き口がない、歳をとって体が不自由になってから近くに店がない等の結果を自分自身が体験した時に、原因を忘れて政治の責任と言います。

資本家だけ有利に出来ている資本主義の弊害はこんな形で弱者に跳ね返るので、『国内産業が亡びても、安い物を買う』論理や、自分だけ得をすればいい消費行動から『地域や国家を多少は意識した消費行動』が自分達の雇用を守り、国が安定し犯罪が減少することに繋がる意識が肝要です。 

巨大資本が原油先物を買占め儲ける巨額な利益は、毎日の燃料を買う小市民から奪っているもので、いずれ食い物にする小市民が格差や貧困で搾取出来なくなり、自分達が自爆する時が到来するまで続けるのでしょう。 

一億総中流の時代は雇用が担保されていたからで、先進国の格差と失業上昇は資本主義破綻の道に繋っている気がします。