裏も表も見せて散るもみぢ。

科学と文明の進歩と共に、人間の狡猾さも進歩拡大していることを思い知る出来事が続いています。

かなり昔ですがアイポットを買う時、商品の保証(電池交換含む)とサポート無料二年間で六千円位・絶対お得と勧められ、応対の丁寧さに感心しましたが戦略です。 

そのうち不具合が出て電話すると、丁寧さを装いマニアルの同じ言葉と操作の指示を繰り返し、堂々巡りが一時間位かかる電話のやりとりが続きますが、ほとんどの人は嫌気がさし修理代を払ったり、別な商品を買ったりして済ませますが、それが狙いです 

電話は録音されているので、受付は『慇懃無礼』を徹底しますが、私の論理に追いつめられた時に技術部長(当時35歳)に代わり、この電話は録音されていない趣旨を述べ一時間ほど本音の私的会話をした後に『高野様には新品を発送して、到着した頃に私が電話で同じように使用できるようにパソコン操作を指導します』と言ってくれました

彼が部長になるまでに失ったもの、現代の大企業の本音と建前の怖さ、私的な会話に双方が共感した中でのクレーム処理でした。

毎月少額のローンで新車を購入する自動車会社の『残価設定プラン』も、二~三年後に驚く内容を提示します。 

携帯電話会社も複雑なサービス内容で、昔の生命保険会社の保証内容一覧に似て、読む気力が萎える様に作っています。

企業内の末端で働いている人達は、法律に違反しない範囲での詐欺行為に近い行為と理解していても、職を失う恐さで従う他ないのです。 

不況と販売競争の中で、自社製品を売り込み、利益を上げる為に考え出された慇懃無礼のビジネスモデルは、人の不幸や無知な愚かさにつけ込んだエゴを隠し持っています。

そんな時代に、建前と本音を使い分けない私の態度は不遜に見えて時々『異端の目』を向けられ、慇懃無礼を望んでいる消費者の増加も感じます。 

たった一度の人生どう生きるか? を忘れた社会の中で、いずれ迎える死まで、食べられればいいのです。 

良寛の一句『裏を見せ、表を見せて散るもみぢ』そんな心境で時流を割拠して散る覚悟です。