遠い昔の新婚生活。

結婚四十年の来年の計画を妻に聞かれて困っています。 

昨年の正月休みの四泊五日での東京旅行が頭にあるようです。 

知り合った頃の二人で遊んだ所・職場・新婚時代の家などの変容を往復飛行機代・ホテル朝食付・レンタカー代込み十五万で楽しみました。

東京を引き上げ、お茶の行商三年・プレハブの店十年・その後に今の店を過大な借財で持ってからは返済と娘の養育に追われ、月二回の定休日以外は休み無く過ごして来ました。 妻の反対を押し切った脱サラの罪滅ぼしに、借財の返済と娘の教育が済んだら、想い出の東京を尋ね歩くのが長年の私の願いでした。 

そんな願いを知っていた娘は、計画実行の時に安い旅行会社を調べてくれ、半月前に十万円を封筒に入れ『使って下さい』と渡され、有効に使いその喜びを報告しました。 

ナビを使い記憶を辿って尋ね歩いた場所は全てが様変わりしていましたが、いっきに気持ちがタイムスリップしたのは新婚生活を過ごした一軒家がそのままの状態であった時でした。 

辿り着くまでの全てが変わっていて、このままでいいのか? 不安のままで見つけた時・・二人呆然として・・まるで『幸せの黄色いハンカチ』のワンシーンでした。 

その家を眺め、今は住宅地の所も昔は森だったし、家の中の間取りと家具の配置も鮮明に想い出し、この家で錯覚から『燃えた若い頃』の話しなどが溢れ出し一時間位もアッという間でした。 

次に向かう時に思わず手を握って『これからもよろしくね』と言うと『こちらこそ』と返事をもらった時は苦労を共にした結婚生活の意味を感じました。 

映画としての男のドラマはここで終りですが、女性は何故か?まだ続いています?